#360日前 友達がユーチューバーになった

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小樽ミルク・プラントで出会った小樽の男

昔、糸井重里が作ったコピーで「ともだちがポーラレディになった」というものがあった。それにならうと、「友達がユーチューバーになった」だ。その男とは、2年前に小樽で知り合った。彼は私と同じ年齢で、今年66歳になる。もっとも、私は地球にやってきてから66年経つのであって、実際の年齢は100歳かもしれないし、20歳かもしれない。タコ星人に年齢の概念はないのだ。

友達と出会った場所は、小樽市内公園通りのミルク・プラントだった。小樽公園が秋色に染まる2018年10月の寒い平日。店内は混雑しておらず、彼はスーツ姿でテーブル席に一人いて、レインボーアイスをなめていた。私も、同じ、レインボーアイスを持っていた。

彼の方から「どこかで会ったことはありませんか」と聞いてきた。私は憶えがなかった。「いいえ、はじめてです」「そうですか」「よくここへ来るのですか」「いいえ、小樽の人間じゃありませんので」と言ってから、彼は話を付け足した。「でも、実家はこの近くにありました。2年前に取り壊しましたが・・・」「じゃあ、小樽の男じゃないですか」「ええ。でも、そんなに胸を張って小樽の男と言えるかどうか。小樽で詳しい場所は、昔、保証牛乳と呼んでいたこの場所と、アイヌ犬を散歩していた小樽公園しかありません」「小樽公園はいいですね。石狩湾も天狗山も両方が見えるし」「子供の頃、よく祖父に連れられて公園のてっぺんにある見晴亭で団子を食べました。まだ公園に熊やトラやサルがいたころの話です」「失礼ですが、今はおいくつなんですか」「私ですか、私はゴジラの同級生です」

ゴジラの同級生。それが、友達のユーチューブ登録チャンネル名になっている。

60代ユーチューバー「ゴジラの同級生」に登録してわかったこと

私は、ユーチューブって、若者のモノだと思っている。いや、若者よりも、さらに若い世代のものかもしれない。だから、友達がユーチューブを始めたと聞いて、「年寄りの動画なんて、いったい誰がみるのだろう」と思った。それでもお義理で登録してあげたが、私を含めても登録者は今のところ3人だ。

https://www.youtube.com/channel/UCtu7JHZ8ZFHpES29k4GTkVQ

今後、よっぽど「神風」が吹かない限り、登録者が増えることはないだろう。その理由は3つある。

①普通の年寄りには、友達がそんなにいないから

②年寄りの昔話や生活には、若者は興味がないから

③年寄りの昔話や生活には、年寄りだって興味がないから

①普通の年寄りには、友達がそんなにいないから

ユーチューブにしても、SNSにしても、普通は登録者やフォロワーが初期の段階で数十人はいるものだ。それは友達や知人、家族が視てくれて、「ご祝儀」で登録者やフォロワーになってくれるからだ。しかし、「ゴジラの同級生」は友達や知人が僅かしかいないうえ、家族にもユーチューブを始めたことを知らせていないらしい。妻にばれたら、ふんと鼻で嘲り、即刻やめるように命じられることがわかっているからである。

彼の友達、知人、妻は、古い世代の人間たちであり、みな共通の認識を持っている。それは、私が感じていることとほぼ同じだ。「ユーチューブって、若者のモノ」だと思っており、「年寄りの動画なんて、いったい誰がみるのだろう」と思っている。だから、「みっともないから、ユーチューバーなんて即刻やめなさい」となるのである。

「ゴジラの同級生」は、そう言われることがわかっているから、友達、知人、妻(家族)に、自分の動画を知らせていない。だから、初期の段階で登録者が増えないのである。むろん、面白く評判になるほどの動画であれば知り合いや家族に頼らなくても登録者を増やせるだろうが、最初はまだ手探り状態で、高い評価を持っていただくレベルには達していない。

②年寄りの昔話や生活には、若者は興味がないから

友達は「人生で聴いた歌のベスト100」というのをまずアップデートした。ほかに、「この年になって吉田拓郎が好きになってしまった」とか「中島みゆきミニスカート問題」「年寄りは何を着ればいいんだ」「年寄りが捨てきれずにとっている本・雑誌」「孫に読み聞かせたい童話・絵本」を紹介をしている。
「ゴジラの同級生」の動画のテーマは、ノスタルジーである。はっきり言えば、おじいさんのニッポン昔話だ。

こんなものに興味のある人間は、一部の年寄りに限られている。若者は視ない。興味もない。平成時代の1990年代や2000年代のことすら、もう「古い」と言われているのに、「ゴジラの同級生」が語る舞台は、1970年代の話がメインだ。この時点で、もう終わっているのである。

③年寄りの昔話や生活には、年寄りだって興味がないから

「ゴジラの同級生」は、同世代の60代をターゲットにしていると言う。はっきり言えば、同世代以外は切り捨てるというスタンスである。それも一種の戦略である。しかし、同世代は果たして視てくれるだろうか。昔はこーだった、あーだったと語っても、価値観や趣味、体験は人それぞれなので、多くの年寄りにはさほど関心を持たれないのではないかと思う。

仮に共感したとしても、チャンネル登録するほど毎日視たいわけではない。「ゴジラの同級生」は60代をターゲットにするなら、該当するユーチューブ視聴者が毎日見たくなるものを考え、動画にしなければいけない。

動画スターになるか、ただの年寄りでいるか

とはいえ、奇跡が起きることがある。朝起きてコーヒーを飲み、トーストにバターを塗りたくる。そんな日常を紹介するだけなのに何万回も視聴回数を得て、何万人も登録者を着実に増やしている中年・老年のユーチューバーがいる。「ゴジラの同級生」にどれだけ自分の日常をさらけだせる覚悟があるか否かわからない。人気を得る、ということはスターになることだ。スターになる資質や魅力が、自分の素性を隠したがっている帽子にサングラスをかけた「ゴジラの同級生」にあるとは思えないし、60半ばの初老男がスターになるのは簡単ではない。

ともあれ、友達として「ゴジラの同級生」を応援したい。このブログの場で、しばしば応援をしていきたいと思っている。ブログを読んでいただいている皆様にもぜひ「ゴジラの同級生」を視ていただきたいものである。

https://www.youtube.com/channel/UCtu7JHZ8ZFHpES29k4GTkVQ


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